
手の血管が、年々太く浮き出る感じがする…。何かの病気なのかしら?
老けてみえるから人前に手を出したくない。血管がキモチワルイって言われた…。
手の甲に浮き出る血管をきにしている人は、少なくありません。
ハンドベインの原因やお手当についてまとめてみました。
ハンドベインとは?
hand=手、vein=静脈、のことで、手や腕に静脈が浮き出た状態をあらわしています。
病気ではありません。
誰でも手を下げていれば、多少は血管が浮き出ますが、浮き出た状態がなかなか元に戻らず、目立つようになった状態がハンドベインと呼ばれています。
手の静脈は、足の静脈と違って弁が壊れにくく、血栓が詰まって命にかかわる肺塞栓症(エコノミー症候群)のような危険がほとんどないようです。※出典1
ただし、痛み、しびれ、むくみなどがある場合には病気が隠れていることもありますから、放置せずに医師に相談しましょう。
ハンドベインであれば、痛みやしびれなどを感じないはずで、外見をきにしなければ、特に問題がないと考えられています。
なぜ血管が浮き出るの?
- 加齢により血管の柔軟性が失われ、拡張した静脈の血管壁が元に戻りにくくなるから
- 加齢やダイエットにより皮下脂肪が減少して血管が目だつようになるから
- 紫外線や乾燥の影響で皮膚の弾力性を保つコラーゲンやエラスチンが失われ血管が目立つようになるから
- 力仕事など、手をよく使うため血管が太くなったから
- 遺伝
加齢による生理現象~心配なのは体より心。
ハンドベインは病気ではなく、加齢による自然な現象であり、痛みやしびれ、むくみがなければ、特に心配する必要はありません。
しかし、自分の手というものは顔よりも目にふれやすい部位であり、手をみるたびに老化を感じて自信を失い、人にみせたくない、人に会いたくない、というところまで思いつめてしまう場合もあるようです。
遺伝的な理由で10代から悩んでいる人や、人前に出る職業の方にとっては深刻な悩みであり、そのような場合には医師による外科的な治療が有効なこともあります。
しかし多くの方は、手術までは希望しないけれど、すこしでも自分でできるお手当があればやってみたいと考えるのではないでしょうか。
ハンドペインのセルフケア
ハンドベインの予防はずばり、血管と皮膚の若さを保つこと。
それは全身の老化を防ぐケアでもあります。
ハンドベインが教えてくれた体の老化サインをしっかりうけとめて、セルフケアを楽しみましょう。
- 静脈壁の柔軟性を保つ食生活
- 深呼吸で全身の氣めぐりをうながす
- 日焼け予防で紫外線ダメージを減らす
- 手の潤いを保つ
- ハンドマッサージ
1.静脈壁の柔軟性を保つ栄養素とは?

血液をサラサラにする栄養素と血管を丈夫にする栄養素が良いとされています。
●ルチン:そば、アスパラガス、ブロッコリー、トマトなど
●ビタミンB群:納豆など大豆製品、牛乳、卵、魚など
●DHA、EPA:イワシ、サンマなどの青魚に含まれる不飽和脂肪酸
●ポリフェノール:キウイ、お茶(カテキン・タンニン)、コーヒー、ココア、韃靼そば、赤ワインなど
●食物繊維:きのこ、海藻類など
2.深呼吸で全身の氣めぐりを促す

腹式呼吸でリラックスすることにより、血管が拡張して血行促進効果が期待できます。
意識して深い呼吸をすることで、普段使われていない肺胞や内臓への刺激が加わり、全身への健康効果も期待できます。
また、東洋医学では血液とともに「氣」が全身をめぐると考えており、血流が良くなることで氣めぐりも促され、体のすみずみにまで届けることができます。
3.日焼け予防で紫外線ダメージを減らす

紫外線は日焼けをおこすだけでなく、皮膚の奥にある真皮層まで届き、コラーゲンやエラスチンにダメージを与えます。
それにより肌の弾力が失われ、血管が目立つようになってしまうのです。
手の甲は、自動車や自転車の運転などで直射日光にさらされる可能性の高い部位で、ほんの10分、15分でもダメージをうけてしまいます。
弾力だけでなく、シミやシワの原因にもなりますので、日焼け止めクリームや、手袋などで紫外線を予防する生活習慣が大切になります。
4.手の潤いを保つ~保湿ケア

手は、水や石鹸、洗剤、消毒用アルコールなどで、一日何度も刺激をうける部位です。
そのような刺激から守っているのは、わずか0.02ミリ(食品ラップ程度)ほどの厚みしかない角質層。
その角質層を守っているのが水分です。
角質層で水分が保持できなくなると、皮膚の厚みがさらに減少し、血管が目立つようになります。
また、乾燥によりひびわれ、肌荒れ、ささくれなどが生じて、皮膚のバリア機能も弱くなってしまいます。
皮膚に潤いを与えてふっくらさせることで、美しさも健康も保てるのです。
具体的な手の保湿ケアは、お顔と同様でOKです。はじめに水分(化粧水や乳液)を与えて、そこにフタをするイメージでクリームやオイルを塗ります。
特に乾燥が目立つときは、夜寝る時に上記のケアをしたあと、シルクや綿の保湿用手袋をして眠ると良いでしょう。ただし、てのひらは体温調節機能がありますので、熟睡のためにも、手のひらオープン型の手袋がおすすめです。
5.ハンドマッサージ

指の先、体のすみずみにまで栄養を届けているのは毛細血管です。その長さは10万キロメートル(地球約2週半)、一番細い血管では5マイクロメートル(1/200ミリ)ともいわれています。
その細くて長い血管に、心臓というたった一つのポンプで血液を巡らせるなんて、イメージしただけで気が遠くなりそうですね。
それを助けているのは筋肉というポンプですから、動かさないところ、ふれないところは、血行不良になるのも当然です。
毛細血管から集めた血液を心臓に戻すのが静脈であり、その太い静脈が柔軟性を失うことでハンドベインになるので、ハンドマッサージにより、血行が促進されて栄養がいきわたることは健康な皮膚と血管のために大切なことです。
保湿剤を塗る時に、ハンドマッサージやタッチケアをおこなうことで、相乗効果が期待できます。
ハンドマッサージとタッチケアを組み合わせて素晴らしい効果へ

ハンドマッサージは主に筋肉に対してアプローチする技術で、タッチケアは感覚神経に対してアプローチする技術です。 タッチケアの特徴として、ふれる部位に意識を集中して、心地よさを感じる、ということがあります。 これにより、幸せホルモン・オキシトシンが増えるといわれています。 資生堂の研究(出典2)により、肌に優しくふれることで肌内部のオキシトシン値が増えることがわかり、そのオキシトシンにより表皮の再生を促すことが発見されました。 筋肉の動きをなめらかにして、血行促進するハンドマッサージと、幸せホルモン・オキシトシンを増やすタッチケアを組み合わせることで、素晴らしい相乗効果が期待できます。 ハンドマッサージのセルフケア動画は、ネット上にたくさんあると思います。 そこに、呼吸とともに意識を集中するタッチケアを組み合わせてみましょう。優しくふれて心地よさに集中すればOKです。 ※幸せホルモンを増やすふれかたについて、花まるタッチ®セルフケア講座やワークショップお伝えしています。微妙な圧やスピードは、動画で伝えることが難しいのでレッスンへどうぞ。
何歳になっても大切な乙女心

高齢者施設での訪問タッチケアで「手が汚いから見せたくない」と、断る人や、
「こんなおばあちゃんの汚い手で、恥ずかしいわ」と言いながら受けてくださることは、少なくありません。
「昔はきれいだったのよ~」なんて、恥ずかしそうにおっしゃいます。
施術後はオイルでぴかぴかに潤った手をみて「わぁ~ぴかぴか!しっとり!みてみて~」なんて…
みんなで笑いあうお姿は、ほんとうに何歳になっても可愛らしい乙女です。
逆にギバー(施術者)が、自分の手を恥ずかしいと感じる場合もあります。
そのコンプレックスが、タッチケアの効果を減少させてしまうのは、もったいないですね。
手という体の末端の部位が教えてくれている体の声に耳を傾けて、しっかりとセルフケアすることで、自分を好きでいる力、自分を信じる力を高めていけたら幸せです。
まとめ
ハンドベインは、主に加齢によって静脈が浮き出て見える状態のこと。
痛み、しびれ、むくみなどの症状が伴わない場合は、病気を心配する必要はありません。
遺伝的要因、痩せている人は若くても目立ちやすく、そのほかの人も加齢とともに目立ちやすくなります。
予防としては、血管の柔軟性を保つ食生活とハンドケア。
紫外線予防、保湿ケア、血行促進のハンドマッサージとオキシトシンを増やすタッチケアを楽しみましょう。
人の目にふれることの多い手に自信をもつことで、QOLを高めることができます。
日焼け予防クリームや、保湿クリームをぬる時に、タッチケアの意識をもってふれることで、素晴らしい効果が期待できます。
ふれないトコロから老いていく。だから毎日タッチケア!EHAJ宝官でした。
※出典1:阿保 義久/手・腕に浮き出る血管はこうして改善する/PHP出版
出典2:資生堂、肌由来オキシトシンが表皮再生を促進することを発見